赤い水面に銀のスプーンが白いぐろぐる描いて
砂糖が一つこぼれ落ちる
まばたきをする間もない速さで
紅茶に落ちた砂糖は消えていってしまう
「紅茶は砂糖が溶けていなくなっても、気づかないのかしら。」
不思議なこと口走ったこと、うっかりとはいえ彼女はすぐに後悔した
そして視線の矛先はカップではなく、一人の紳士を捕らえている
意に介さないのか、微動だにしない
少しだけ紅茶の表面が波打った
「それは、興味深いなぞですねー・・・。」
溶けた砂糖はもうカップのどこにもいない
紅茶に砂糖に気持ちがあればいいなと思うけれどー・・・
真剣な様相をする少年に、紳士は告げる
「 紅茶は砂糖が溶けて安心してるんだよ、コーヒーに取られなかったって。」
一瞬目を丸くした少年の前に置いているシュガーポットを手にすると
砂糖を一つカップに落とし、銀のスプーンが溶かしていく
「紅茶には砂糖一つとスプーンがあれば、それで充分さ。」
一瞬で頬が熱を帯びたことなんて、痛いほどわかってる
顔を見られていたら、きっと変な子だって思われてた
ほおづえをついていて良かった・・・
「甘いのが好きですので、僕の紅茶は砂糖を独り占めしたいって思ってますよ。」
少年は当たり前のように砂糖をカップに放り込む
山高帽を深くかぶりなおした紳士を彼女は知らない
なぜなら彼女はほおづえをついていたから
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紅茶=先生、砂糖=アロマたんです。
先生は英国紳士のたしなみとかで、ちょっと甘いことを囁いとけと。
ルーク少年は無邪気に紅茶と砂糖をかきまぜればいいと思う。(w